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IMY知財ニュース 2024年2月 非公開制度について

諸外国では、国家の安全性や優位性に関わる発明が海外に流失することを防止するために「秘密特許制度」が規定されている国が数多く存在します。

しかし、日本ではそのような規定がなく、G20の中でこのような制度がないのは、日本、メキシコ、およびアルゼンチンの3か国だけです。

 

近年、世界を取り巻く状況の緊迫性があることから、日本でも令和6年5月1日から、日本版の秘密特許制度である「特許出願非公開制度」が開始されることになりました。

 

今回は、「特許出願非公開制度」について簡単に紹介します。

 

特許出願非公開制度とは、特許出願の明細書などに、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載されていた場合には、「保全指定」という手続により、出願公開、特許査定及び拒絶査定といった特許手続を留保する制度です。

 

出願人としては、①どのような発明が保全指定の対象になるのか、②保全指定がされた場合にどのような制限がかかるのか(保全指定の効果)、③違反した場合のペナルティ、が特に重要な関心事になると思います。

そこで、それらの3つのポイントについて説明します。

 

●保全指定となる発明

保全指定の対象となる発明は、国家の安全を損なう恐れが大きい発明、たとえば、武器に用いられる技術、宇宙、サイバーなどの新しい技術、大量破壊兵器への転用が可能な核技術などが該当します。

分かりやすいように例を挙げましたが、具体的には、保全指定の対象となる発明は、国際特許分類(IPC)で定められており、特許庁が、出願人の申し出ありなしに関わらず、自動でスクリーニングを行います(一次審査)。

特許庁が保全指定の対象に該当すると判断した発明について、内閣府の審査部門が具体的な出願内容を審査して、実際に保全対象に該当するかどうかを審査します(二次審査)。

保全指定された発明については、出願人に通知されます。

(出典:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/hikokai/index.html

 

●保全指定の効果

保全指定がされた発明は、指定解除がされるまでの間、特許出願の取下げが禁止され、外国出願が禁止されます。さらに、実施・開示が制限され、適正に管理するように適正管理義務が課されます。保全指定は、1年ごとに延長の要否が判断されます。

 

●ペナルティ

保全指定がされた発明について、実施し、開示してしまった場合は、刑事罰の対象とされているほか、特許出願が却下されることがあります。

適正管理義務を果たさず、特許出願人以外の者が保全対象発明を実施、または内容を開示した場合も、特許出願が却下されることがあります。

外国出願をしてしまった場合には、日本の特許出願が却下され、刑事罰が科せられます。

 

詳細は、特許庁HPおよび内閣府HPをご確認ください。

・特許庁HP「特許出願非公開制度について」

https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/hikokai/index.html

・内閣府HP「特許出願の非公開に関する制度」

https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/patent.html

 

M.M記)