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IMY知財ニュース 2023年9月 ちょっと面白い特許紹介

今回はちょっと面白い特許について紹介したいと思います。

お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次さんが発明者の特許が登録されていることをご存じでしょうか。

秋山さんが発明者の特許は2つあり、いずれも自身の芸の小道具である「体ものまねTシャツ」に関するものです。

 

1つ目の特許の特許6249501号の特許請求の範囲は以下の通りです。

【請求項1】

プルオーバー型の上衣を着用する使用者によって、前記使用者の左右の腋が露出し、前記上衣の前身頃と後身頃がそれぞれ裏返えるように裾部が引き上げられ、前記使用者の頭部の前方に、像が、前記使用者から見た正立状態で現れた後、前記使用者が両手で前記裾部を引き上げた状態を維持することで前記像が前記使用者の頭部の前方にとどまるように、前記上衣の前記前身頃の裏地のうち左右の袖ぐりの下端同士を結ぶラインを跨ぐ位置に、人物、動物及びキャラクターのうちのいずれかの顔をかたどった前記像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられることを特徴とする小道具。

 

簡単にいうと、上着を裏返るように引き上げた場合に、左右の腋(わき)が露出して、上着の裏面に描かれた顔が使用者の顔の前に現れる小道具であることを特徴にしています。

まさに、一発芸で使われるTシャツの特徴をそのまま権利化しているような印象を受けますね。

この特許は、分割出願後に権利化を果たしているようです。

また、図面は以下の通りです。Tシャツに描かれている顔を若干秋山さんに寄せているところが面白いですよね。

 

2つ目の特許の特許6366202号の特許請求の範囲は以下の通りです。

【請求項1】

プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前記前身頃の表地に、前記像が有する目の位置を示す目印が設けられ、

前記目印は前記像の目の並び方向に延び、且つ前記像の目の並びの位置と合致した位置に設けられており、前記目印の両端はそれぞれ前記像の輪郭と対応する位置にあることを特徴とする小道具。

 

簡単に言うと、上着の表面にプリントされている星の目印Mkと、その裏面にプリントされている顔の目の位置が一致していることを特徴としています。

この特許は、審査段階において、秋山さんのラジオ番組出演時のウェブ記事によって既に公知となっていることが指摘され、拒絶査定になりました。

この拒絶理由も、芸能人ならではの理由で面白いですね。

しかし、拒絶査定不服審判を請求して、その映像からは分からない「前記像の目の並びの位置と合致した位置に設けられて」という構成に限定して登録となっています。

 

 

秋山さんは、あるテレビ番組で、ネタで特許を取った!と言っていたようですが、

芸人のネタで使用される小道具は、テレビで放送された後に、模倣されて販売されるという実情があるようです。

そのような模倣を防止するために、権利化されたようにも思われます。

(秋山さん自身の「体ものまねTシャツ」もネットで販売されているという実情もあるようです。)

そのため、今後、芸人のネタとして使用される小道具も特許化される動きが増えていくかもしれませんね。

 

M.M 記)