- お知らせ
IMY知財ニュース 2023年8月 直近の改正法について
2023年6月に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が成立し、公布されましたので、1年以内に施行される予定となりました。
この改正法では、不正競争防止法を中心に、商標法、意匠法、特許法、実用新案法等の一部が改正されました。
今回は、商標法と意匠法を中心に、その改正の内容を説明します。
商標法では、主に「コンセント制度の導入」「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」の改正が行われます。
また、意匠法では、主に「新規性喪失の例外規定の要件の緩和」の改正が行われます。
以下、それぞれの改正について簡単に述べていきます。
1.コンセント制度の導入
コンセント制度とは、他人の先登録商標に抵触する商標が出願された場合でも、先行登録商標の権利者の同意があれば、両商標の併存登録を認める制度です。
現行の商標法では、他人の先願先登録商標と同一又は類似する商標は、登録できないと規定されています(商標法第4条1項11号)。
しかし、諸外国では、コンセント制度が導入されており、日本ではグローバルなコンセント契約が行うことができないという問題がありました。
そこで、今回の法改正により、先願先登録商標と同一又は類似する商標であっても、①先登録商標権者の同意を得ており、②出所混同のおそれのない場合は、商標登録が可能となります。
2.他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和
自分の名前で事業活動を行う者等が、自分の氏名を含む商標を登録することがあります。
しかし、現行の商標法では、自己の氏名であっても、他人の氏名と同一である場合は、その他人の承諾を得なければ商標登録することができません(商標法第4条1項8号)。
そこで、今回の法改正により、他人の氏名が需要者の間に広く認識されている場合を除き、自己の氏名であれば他人の承諾なく商標登録することが可能となります。
3.新規性喪失の例外規定の要件の緩和
現行の意匠法では、新規性喪失の例外の規定を受けるためには、すべての公開行為を網羅した証明書を作成する必要があります。
しかし、すべての公開行為を網羅した証明書を作成する行為は出願人に大きな負担となっていると問題視されていました。
そこで、今回の法改正により、最先(最初)の公開意匠についてのみ証明書を提出することで、新規性喪失の例外規定の適用を受けることができるように規定されました。
詳細は、以下の特許庁のHPをご確認ください。
不正競争防止法等の一部を改正する法律(特許庁HP)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/hokaisei/sangyozaisan/fuseikyousou_2306.html
(M.M 記)