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IMY知財ニュース 2025年12月 公証役場とタイムスタンプについて

特許権は原則として先願主義がとられていますが、他人の特許出願日よりも前から同一の技術を実施していた場合には、一定の条件の下でその実施を継続できる制度があります。

これが、「先使用権(特許法第79条)」です。

 

先使用権は、登録により発生する権利ではなく、紛争が生じた際に主張・立証する権利であるため、「いつ、どのような技術を、どの程度まで実施していたか」を裏付ける客観的な証拠が重要になります。

 

1.公証役場での登録

これまで、先使用権の証拠を残す方法としては、設計図や仕様書などを公証役場で確定日付として保管・登録するという方法が一般的に用いられてきました。

 

公証役場を利用する方法は、作成日時の証明力が高い、第三者機関による関与が明確であるといった利点がある一方で、紙資料が前提となる、手続やコストの負担が比較的大きい、データ更新のたびに手続が必要といった点が、実務上のハードルとなることもありました。

 

2.タイムスタンプ

このような背景の中、近年、先使用権の証拠化手段として注目されているのがタイムスタンプです。

タイムスタンプは、電子データについて「その時点で存在していたこと」「その後改ざんされていないこと」を、信頼できる第三者が証明する仕組みです。

設計図(PDFCADデータ)、実験データ、プログラムソースコードなど、電子データで管理される技術資料が主流となった現在では、有効性が高いように思います。

 

(引用:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/pdf/law_17.pdf

 

3.実際にタイムスタンプを使うには

タイムスタンプの利用は、特別な設備がなくても可能です。

一般的には、以下のような方法がとられています。

 

a.タイムスタンプサービスを提供する事業者を利用する

以下に総務省により認定された時刻認定業務を行う企業の一覧が記載されています。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/timestamp.html

上記URLに記載はありませんが、無償版のAdobe Readerでもタイムスタンプを付与できます。

 

b.タイムスタンプを付与する電子データを選択する

後から内容が変わらない「確定版」であることが重要です。

 

c.データにタイムスタンプを付与する

これにより、作成日時と非改ざん性が記録されます。

 

d.元データとともに長期保管する

 

4.コメント

先使用権は、「いざ問題が起きたとき」に初めて重要性に気付かれることの多い権利です。

従来の公証役場による方法に加え、タイムスタンプという選択肢が広がったことで、電子データ中心の実務にも対応しやすくなっています。

 

弊所では、先使用権を見据えた証拠化の方法や、タイムスタンプの活用についての実務的なアドバイスも行っております。

技術資料の残し方に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

 

(M.M記)