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IMY知財ニュース 2025年10月 特許と意匠を組み合わせた権利取得の考え方
製品の競争力を高めるためには、機能や構造だけでなく、外観やデザインも重要です。
特許権による技術的側面の保護と、意匠権によるデザインの保護を組み合わせることで、
より広く、重層的に製品を守ることができます。
食品包装などの分野では、装置の構造・動作を特許で保護しつつ、
ラベルや台紙の形状、表示用画面などを意匠で権利化する事例が見られます。
今回は、株式会社イシダのラベル関連技術を例に、
特許と意匠を組み合わせた権利取得の考え方を紹介します。
2.特許による技術の保護
発明の名称「台紙レスラベルとラベル切断装置」
従来は、以下の図に示すように、切断する部分に切断位置の位置ずれを許容する隙間がなかったため、切断箇所が多少ずれただけでラベルの形状に影響するという問題がありました。

(従来技術:特開平9-002441)
これに対し、本発明は、幅WをカッターCの切断位置のずれを許容する幅にしているため、
カッターの切断位置がわずかにずれても、搬送されるラベルの切断精度を保てるよう構成されています。
これにより、印字・貼付工程での誤差を抑制し、安定して貼付することができます。
【請求項1】
切断代CRの搬送方向の幅Wは、カッターCの切断位置のずれを許容する幅に形成されている。(請求項を簡単に記載しています。)

3.意匠によるデザインの保護
物品「ラベル」
上記特許の形状的な特徴は、全体が四角形で、その前端縁および後端縁において段差的に突出している点にあります。
こうした形状上の特徴がデザイン面でも評価され、意匠でも登録になっています。
なお、経緯は不明ですが、いずれの意匠も特許出願から変更出願されたものです。
意匠1749796号 意匠1755441号

(2)意匠登録第1716928号
物品「ラベル台紙」

物品「おにぎり用ラベルの表示用画像」
実線はラベルの部分(ピンクの線)だけで、他の部分は破線の部分意匠です。
(ピンクの線は実線を分かりやすくするために付けたものです。)
両意匠は、意匠第1808933号が本意匠、意匠1808866号は関連意匠です。
意匠1808866号 意匠第1808933号

4.まとめ
ラベル関連技術のように、構造、デザイン、表示が一体の製品では特許と意匠を組み合わせた包括的な知財戦略が有効です。
装置の技術的構成を特許で押さえつつ、意匠でラベルのデザインおよび装置の表示用画像を押さえることで、一製品の中で異なる要素を重層的にカバーすることができます。
また、ラベルの意匠については、特許出願から意匠出願への変更出願を活用しており、
技術的には権利化が厳しかったものをデザインとして保護していることも興味深いです。
今回、特に注目すべきは、表示用画像意匠の活用です。
ラベルの印字用画面のレイアウトといったデジタル要素まで意匠の対象として権利化している点がとても興味深いです。
弊所では、製品の特性に応じた一体的な出願戦略をご提案しております。
新技術の開発や製品デザインの更新の際には、ぜひご相談ください。
(M.M 記)
