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IMY知財ニュース 2025年8月 空調服に関する特許

近年、夏の猛暑対策として「空調服」が広く普及しています。

空調服は、衣服に小型ファンを取り付けて外気を取り込み、体表面に風を流すことで汗を気化させ、冷却効果を得る衣類型の冷却装置です。

 

この仕組みは、「生理クーラー理論」に基づいています。

これは、人間の体温調節機能を活用する考え方で、汗が蒸発する際に体表面から熱を奪う「気化熱」を利用するものです。

空調服はこの理論を応用し、人工的に風を送り込むことで汗の蒸発を促進し、体温を効率的に下げることができます。

 

空調服の技術を牽引してきたのが、株式会社セフト研究所です。

空調服は、株式会社セフト研究所の登録商標です(商標登録6425243号)。

株式会社セフト研究所によって2003年に出願された特許出願(PCT出願WO2005/063065)では、ファンによって衣服内に空気を循環させる構造が提案されており、これが現在の空調服の基本特許のようです。

この基本特許の出願時の請求項1の構成は、以下の通りです。

 

[請求項1](分かりやすいように簡略化して記載しています)

空調服は、

・衣服内に空気を流す仕組み(空気案内手段+ファン+通気口)と

・電源(バッテリーなど)を備えており、

・十分な風量(着用者の体重1kgあたり 0.01リットル/秒以上 の流量)で送風することで、汗の蒸発を助け、人の体の自然な冷却機能を強化する

という構成になっています。

 

このPCT出願は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国など複数の国に国内移行したようですが、残念ながら全ての国で権利化を断念しています。

 

特に、日本では、以下の主引例(実全平01-030308)を根拠に拒絶理由が通知され、意見書・補正書を提出した後、拒絶査定が確定しています。

この主引例は、送風機を雨合羽に付けたものであり、蒸れを防止するためのものですので、審判を請求して、何とかして権利化を図るべきだったように思います。

仮にこの出願について権利化されていれば、2023年までは、空調服の分野で他社よりも優位に立てたように思います。

 

 

その後も、株式会社セフト研究所は、空調服に関する複数の出願をし、権利化を図っていますが、他社でも空調服に関する出願がなされ、多数権利化されています。

 

本件は「基本特許を取りこぼすと、その後にいくら改良を積み重ねても、決定的な優位を築きにくい」という一例であるように思います。

よって、将来の柱となり得る発明については早期に出願し、審査段階で困難があっても、粘り強く権利化を目指すことが極めて重要です。

 

弊所は、貴社の技術を守り活かすための知財活動を今後も全力で支援いたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

 

(M.M記)