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IMY知財ニュース 2025年2月 意匠のメリット
前回の知財ニュースでは、意匠制度のメリットを説明しました。
今回も意匠に関する話題ですが、ちょっと視点を変えて、
簡単な形状でも物品によっては意匠登録される具体例について紹介します。
物品名:包装容器の内蓋フィルム
この意匠は、包装容器の口天部に貼り付けられ、蓋の間に配置される内蓋フィルムに関するものです。
5つの参考図が添付されていますが、「表面図」で表れている平行四辺形のデザインに意匠権が認められています。
平行四辺形は、一般的にありふれた形態です。
しかし、「包装容器の内蓋」の分野において、内蓋を平行四辺形にすることは一般的ではなかったため、意匠登録されたと考えられます。
このように、一般的によくある形状でも、特定の用途分野において新たな形態であれば、登録される場合があります。
そもそも、本意匠は、特許出願(特願2022-122407号)から意匠出願に変更して登録されています。
変更出願の詳細な経緯までは不明ですが、
推測するに、特許出願の審査段階において、包装容器の内蓋が四角形であることが周知であり、
その形状を平行四辺形にすることは当業者にとって容易と判断され、進歩性を否定されたため、意匠出願へ変更した可能性があります。
このように、意匠制度は、技術的なレベルが低く、特許では保護することが難しいものの、
物品との関係においてデザインに特徴があるものを保護するための有効な権利を取得するための手段です。
(M.M 記)