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IMY知財ニュース(2022年9月) 国境を越えたソフトウェア関連発明の法的保護

今回は、『国境を越えたソフトウェア関連発明の法的保護』についてお話します。

特許権は、属地主義の原則に基づき、国毎に発生し、当該国領域内でのみその効力が認められます。この原則に基づけば、侵害者による特許発明の実施行為が国内で完結している場合に限り、特許権侵害が成立することになります。

そのため、たとえば、あるサービスを提供する事業者のサーバとユーザ端末との双方向通信により成り立つ発明については、他社が同様のサービスを日本のユーザに提供していたとしても、サーバが日本国外にあると、『非侵害』となります。

ところが、今年7月に、知財高裁において、このような属地主義の例外を認めた画期的な判決が下されましたので、その概要について紹介します。

本件訴訟の経緯について簡単に説明しますと、2016年11月15日 株式会社ドワンゴは「ニコニコ動画」におけるコメント表示機能について、米FC2を相手として、自社の特許(特許第4734471号および特許第4695583号)を侵害しているとして、訴訟を提起しました。

<ドワンゴ特許の図1>

ここで、被告であるFC2のコメント表示機能の一部の処理が、日本国外にあるサーバにより実行されていたため、今回の訴訟では、①通常の充足論(FC2のコメント表示機能のプログラム構成がドワンゴの特許権の技術的範囲に属するか否か)だけでなく、②属地主義の問題、すなわち域外適用の是非(発明の一部の機能が日本国外で実施されるため、特許権の効力が及ぶか否か)が争点となっていました。

2018年9月19日 東京地裁は、充足論の段階で、FC2のコメント表示機能のプログラム構成はドワンゴの特許権の技術的範囲に属さない、と判断し、域外適用の是非について触れられることなく、「FC2はドワンゴの特許を侵害しない」旨の判決を下しました。

これに対し、2022年7月20日 知財高裁は、東京地裁の判決を覆し、ドワンゴ側の主張を認めました。

知財高裁の判決文はまだ公開されていませんが、知財高裁では、充足論をクリアした上で、属地主義に関して、域外適用を認める判断がなされました。

以下に、株式会社ドワンゴのホームページに記載の内容を抜粋します。

本判決は、本件各プログラムが日本国外のサーバから配信されていることを前提としつつも、数多くの有用なネットワーク関連発明が存在する現在のデジタル社会において、サーバ等の一部の設備を国外に移転するなどして容易に特許権侵害の責任を免れることを許容するのは著しく正義に反するとしました。その上で、本判決は、特許発明の実施行為につき、形式的にはその全ての要素が日本国の領域内で完結するものでないとしても、実質的かつ全体的にみて、それが日本国の領域内で行われたと評価し得るものであれば、日本の特許権の効力を及ぼし得ると判断しました。本判決は、以上を踏まえて、本件におけるFC2動画等のサービスの実態その他の諸般の事情を考慮して、本件各プログラムの配信は日本国内における特許権侵害に当たると判断したものであり、国外のサーバを利用して行われる特許権侵害行為に関して画期的な判断を下したものであると考えております。

https://dwango.co.jp/news/6211166288216064/

 

(A.S 記)

2022年9月9日 | カテゴリー: 中小企業向け情報

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