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IMY知財ニュース(2022年5月) 知的財産権の誤解

知財業界で仕事をするようになって数十年経過しました。その間、知財に無縁だった人と打合せをする機会が多くありました。知財業界の人にとっては常識だと思うことが、一般の人には理解しづらいことが多くあります。
今回は、そのような事例をいくつか紹介します。

 

1.「クレーム」という用語
私どもは頻繁に「クレーム」という用語を使います。知財業界の人は、それを当然、特許請求の範囲又は請求項のことであると理解します。米国特許実務では、「私どもが権利を要求するものは、・・・」という書き出しで特許請求の範囲を記載します。その英語は、例えば、「What we claim is 」ですので、ここから「クレーム」という用語が日本の知財でも使われるようになったと思います。
ところが、知財に関与しない一般の人は、「クレーム」という用語を、文句を言ったり、不平を言ったりするときに使います。
打合せの際に、無意識に「クレーム」という言葉を使って、怪訝な表情をされたことがあります。

2.難解な特許用語
特許出願の明細書を作成する際に、嵌着、螺着、係止といった一般にはあまりなじみのない用語を使用することがあります。難解な特許用語は、一般の人に理解しづらいだけでなく、侵害訴訟の場でその解釈を巡り争われることがあります。広辞苑や一般の辞書に載っているような平易な用語を使って明細書を作成することが必要だと思います。

3.特許権の効力
「当社で開発した新製品が、他人の特許を侵害しているように思う。どうしたらよいか?」という相談を持ちかけられることがあります。
内容を聞くと、自社の新製品の形状とほぼ同じ形状のものが他人の特許公報の図面に掲載されているというものでした。この公報の特許請求の範囲を確認すると、相談者の新製品とは全く関係のない構成を特徴とするものでした。
侵害しているんじゃないかと、よく誤解される事例を下記に記載します。
・特許図面に記載されている図面が当社の製品とよく似ている。(請求項の記載を確認すべき。)
・公開公報の特許請求の範囲の記載を見ると、当社の製品も含まれてしまう。(公開公報は未審査のものなので、特許権設定登録後に発行される特許公報を確認すべき。)
・特許公報の請求の範囲の記載を見ると、当社の製品も含まれてしまう。(現在も権利が有効に存続しているかどうかを確認すべき。)

4.意匠権の効力
意匠権の効力は、図面に示されたものと同一のものにしか及ばないので、権利をとっても役に立たない、という声を聞くことがあります。これは間違いです。
意匠権の効力は、図面や写真に示されたものと同一のものだけでなく、類似する範囲にまで及びます。また、全体の形態に対して権利を取得するのではなく、特徴部分にのみ焦点をあてた部分意匠としての権利化を追求することもできます。
今後の商品展開や、他社の模倣可能性等を考慮した出願戦略をすれば、非常に強力で有効な意匠権を取得することも可能になります。

5.商標権の効力
特許庁のデータベースで「XYZ」という商標を検索したら他人の登録商標がヒットしたので、自社の商品に使えない、という声を聞くこともあります。
上記の理解は正しくありません。他人の登録商標と同じ商標であっても、自社の商品に使用できることがあります。
商標権の効力は、商標が同一又は類似で、かつ、商品が同一又は類似のものに及びます。ということは、商標が同一又は類似であっても、商品が非類似であれば商標権の効力は及びません。
他人の登録商標「XYZ」の指定商品が照明器具であれば、同じ商標の「XYZ」を非類似の商品である衣服に使用しても商標権侵害になりません。また、衣服を指定商品として「XYZ」の商標を出願すれば、登録される可能性があります。

 

上記の事例は、過去に実際に相談を受けたものです。
今後も同様な相談があると思いますが、その都度、相談者には正確な理解をしてもらうように丁寧に説明していきたいと思います。

(H.I 記)

2022年5月9日 | カテゴリー: 中小企業向け情報

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