TOPICS
TOPICS > 中小企業向け情報 > 記事詳細
IMY知財ニュース(2021年8月) 登録意匠「組立家屋」事件

2020年4月に意匠法が改正され、不動産としての「建築物」 のデザインも意匠の保護対象となりました。
それ以前は、動産としての物品しか保護されていませんでしたので、
工業的に量産可能な住宅については、「組立家屋」として保護されていました。
今回は、その「組立家屋」について、デザイン模倣を認めた判決について紹介します。

 

◆意匠権侵害差止損害賠償請求事件について◆
~登録意匠「組立家屋」事件~

下記表の左側が原告の登録意匠です。
物品名が「組立家屋」、実線で表した柱と梁の十字の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分です。
下記表の真ん中は、被告製品です。
下記表の右側は、被告が証拠として提出した公知意匠です。

 

1.物品の同一性について

原告の登録意匠は、物品が「組立家屋」でした。
そのため、被告からは、被告が販売しているものは、不動産たる建物であるため、
物品は非類似である、との主張がなされていました。
しかし、裁判所はその主張を認めませんでした。
裁判所は、被告が「枠組壁工法」(いわゆる「ツーバイフォー工法」)という工法を採用していたため、
工業的に量産可能であり、動産的に取り扱っていると判断し、被告商品は「組立家屋」に該当すると認定しました。

 

2.意匠の類否について

公知意匠には、柱と梁が十字形状であることが表れていますが、柱と梁の幅方向中央部には隙間がありません。
裁判所は、公知意匠には表れていないこの隙間が、公知意匠にはないメリハリの効いたシャープな印象を与えていると判断し、柱と梁の幅方向中央部の隙間の形状が要部であると認定しました。
この隙間の形状は、被告製品にも表れているため、裁判所は、両意匠は類似すると判断しました。

 

3.請求額について

原告は、1022万9770円の支払いを請求しましたが、
裁判所は、被告に対し85万1238円の支払いしか命じませんでした
住宅を購入する際には、建物の外観のデザインによってのみ決定するものではなく、
建物の立地、間取り、価格、屋内設備などの仕様などを総合的に考慮して決定するものであるため、
そのデザインの寄与度は、利益の10%と認めるのが相当であると判断したためです。

 

今回は、意匠法改正前の「組立家屋」についての判例を紹介しました。
上述のように、意匠法改正により、不動産としての建築物の意匠についても保護されるようになりましたので、今後の動向にも注意が必要です。

 

ご興味が有る方は、以下をご参照下さい。
平成30年(ワ)第26166号 意匠権侵害差止損害賠償請求事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/077/090077_hanrei.pdf

 

(M.M.記)

2021年8月6日 | カテゴリー: 中小企業向け情報

事務所概要
弁理士紹介
アクセス
求人情報

特許業務法人

アイミー国際特許事務所

〒542-0082
大阪市中央区島之内1丁目21番19号
オリエンタル堺筋ビル6階
電話: 06-6120-5210
FAX: 06-6120-5211
E-mail: info@imypatent.jp