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IMY知財ニュース(2021年5月) AI関連発明~前編~

昨年から連日のように新型コロナウイルスに関するニュースが報道されていますが、最近、ドイツの医療ベンチャー企業が、人の目の写真を撮るだけで、AIが数分で新型コロナウイルスの感染を判断できるアプリを開発した、という驚きのニュースがありました。

そこで、今回は、社会的関心の高い『AI関連発明』についてお話したいと思います。

 

『AI関連発明』と一口に言っても、
①AI技術そのものの発明(AIアルゴリズム発明)、
②既存のAI技術を利用して新たなアイデアを活用したことに本質を見出す発明(AI利用発明)、
③AI学習モデルにより出力された最適なパラメータをクレームする発明(AI出力発明)、
の3種類があります。
(参考:AI/IoT特許入門2.0,河野英仁著)

①の“AIアルゴリズム発明”は主にIT関連の技術分野、③の“AI出力発明”は主に化学・材料分野においてなされるのに対し、②の“AI利用発明”は、特定の技術分野に限定されないので、ビジネス上、最も重要であると言われています。

それでは、日本において、既存のAI技術を利用した新たなアイデアについて特許を受けるためには、特に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

 

◇記載要件(実施可能要件)
AI利用発明では、特許法上の『実施可能要件』を満足しているかどうかが、問題となるケースがあります(特許法第36条第4項第1号)。

(出典:特許庁HP 審査ハンドブック附属書A 事例46)

上記の図に示すように、野菜を栽培している人物の「顔画像(顔の形状)」と、その人物が栽培している「野菜の糖度」とを教師データとして機械学習させておき、人物の「顔画像」から、その人物が栽培した際の「野菜の糖度」を推定する、というアイデアがあると仮定します。

たとえば、丸い顔の人が栽培する野菜は糖度が高く、長細い顔の人が栽培する野菜は糖度が低い、というように、入力データである「人物の顔画像」と出力データである「野菜の糖度」とに何らかの関係(相関関係)があると思いますか?
とても、そうは思えないですね。

このように、出願時の技術常識を鑑みても、入力データと出力データとの間の相関関係を推認できない場合、出願明細書等においてこれらのデータ間に相関関係があることを裏付けておかなければ、『実施可能要件』を満たさない、と判断されてしまいます。

入力データと出力データとの間に相関関係があることは、
・明細書における説明や統計情報、または、
・学習済モデルの性能評価
によって裏付けることができます。

逆に言うと、入力データと出力データとの間に何らかの相関関係が存在することが、出願時の技術常識を鑑みて推認できる場合には、出願明細書等に相関関係の裏付けが記載されていなくても、原則として『実施可能要件』違反とはならず、『新規性』および『進歩性』をクリアできれば特許を受けることができます!

ただし、このように、出願時の技術常識から、入力データと出力データとの間に何らかの相関関係が存在することが推認できる場合、AIを用いたという点において『新規性』をクリアできたとしても、機械学習に適した特有の前処理を行うなど、新たな特徴が付加されていなければ、『進歩性』をクリアできない可能性が高まるので、この点においても注意が必要です。

 

AI利用発明における『進歩性』の判断事例については、次回以降にお話させて頂きます。

※特許庁ホームページに、『漫画審査基準 ~AI・IoT編~』(世界初!漫画でAI・IoTの審査基準を解説します)がアップされています。特許審査の基本的な考え方を漫画で分かりやすく解説しているため、ご興味がある方はご覧ください。

※特許庁ホームページに、『漫画審査基準 ~AI・IoT編~』(世界初!漫画でAI・IoTの審査基準を解説します)がアップされています。特許審査の基本的な考え方を漫画で分かりやすく解説しているため、ご興味がある方はご覧ください。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/comic_ai_iot.html

弊所では、AI関連発明の特許出願も取り扱っておりますので、AI技術を利用した新たなアイデアなどがあれば、ご相談ください。

以上

(A.S 記)

2021年5月7日 | カテゴリー: 中小企業向け情報

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